もし、日本語をあまり知らない人が「お土産」と言う文字を目にしたら、何と読むでしょうか?
いきなり、この文字を「おみやげ」と読める人は少ないのではないでしょうか?
おそらく、初見の方は「おどさん」と読んでしまうはずです。
でも大丈夫ですよ。
ある意味それも、間違いではないので。
と言うのも、互いの文字には深い関係があるのです。
今回はその関係性について、分かりやすく解説しますね。
お土産の読み方は、何故「おどさん」じゃないの?
お土産は一般的に「おみやげ」と読まれるわけですが、何故「おどさん」ではないのかと言うと、それぞれに意味の違いや歴史的な経緯があるからです。
意味の違いで言えば、頭文字の「お」を取って、「みやげ」と「どさん」で比較すると分かりやすいです。
ちなみに補足しておくと、単に土産と書いた場合、「みやげ」「どさん」どちらとも読めます。
そして、その意味ですが、「みやげ(土産)」には「旅先で求め帰り人に贈る」「人の家を訪問する時に持って行く贈物」などの意味があり、「どさん(土産)」には「土地の産物」と言う意味があります。
どちらも土地に関係している言葉なので共通点はありますが、微妙に使い所が異なるわけです。
ですので、一般的には「土産」の頭文字に「お」が付いた場合は「おみやげ」と読み、単に「土産」だけの場合は「みやげ」「どさん」どちらとも読めますので、文脈から読み方を判断するのと良いでしょう。
※「広辞苑 第六版」によると「どさん」が「みやげ」の意味で使われることもあるようです
![]() | 広辞苑 第六版 (普通版) |
「どさん(土産)」の使われ方
「どさん(土産)」には、土地の産物と言う意味があるので、「三国志 09 図南の巻」では、「各州、おのおの、特色ある土産(どさん)の名物菓木珍味を、何くれとなく献上して、賀を表し候え」と使われていたり、「植物知識」「植物記」と言う書籍では「土産植物(どさんしょくぶつ)」などと言う使われ方をしています。
土産の読み方が「みやげ」になった経緯
元々、「みやげ」と「土産(どさん、とさん)」は別々の言葉でした。
「みやげ」には、「みやこけ」「みやけ」と言う言葉に由来しているという説があります。
「みやこけ」は都へ持参したり、持ち帰ったりした入れ物を指し、「みやけ」は宮や神社にお参りして持ち帰った入れ物を指します。
そして、その入れ物の中には、訪問先への贈り物や旅先で求めた品物が入っていたとされています。
そんな中で、言葉が徐々に変化し、「みやげ」になったと言われています。
また、「土産(どさん、とさん)」は、中国語由来の漢語で「土地の産物」と言う意味があります。
一方で「みやげ」の中身も土地の産物だったため、室町時代以降では「みやげ」に「土産」の漢字をあてて読むようになったわけです。
仙台弁では「おどさん」が、「お父さん」という意味で使われる
仙台弁(宮城県)では「お父さん」を「おどさん」「おどっつぁん」などと発音します。
また、秋田弁や津軽弁(青森県)でも、父のことを「おど」などと発音します。
これは、東北方言の特徴で、「か行」「た行」を「がぎぐげご」「だぢづでど」と濁音で発音する習慣があるためです。
濁音化した一説として、東北などの寒い地域では口を開けて発音することが少なくなったため、聞き取りづらい独特な発音になったと言われています。
まとめ
ここまで、「おどさん」とお土産の関連性について解説してみました。
最後の方は、地方の方言についても触れてみましたが、いかがでしたか?
言葉の語源や意味を探っていくのは、なかなか楽しいですね。
皆さんも、不思議に思った言葉をそのままにせず、どんどん探究してみてくださいね。